2012年02月19日

日曜相談で私が大切にしていることは、患者さんの悩みを「聞く」のではなく、「聴く」ことです。「聴く」には、相手の気持ちや人間性をわかろうとする積極的な気持ちが必要になります。相手の言いたいことや感情を理解しよという姿勢が無ければ、「聴く」ことはできません。

それに対して、「聞く」ことは、話し手の近くにいれば、自然に耳に入ってくるもので、相手のことをわかろうろうとしていなくても、「聞く」ことは可能です。

私たちの診療所には、ずいぶん遠方から、歯の悩みを抱えた方がいらっしゃいます。
多くの方が機能的な問題だけでなく、歯が悪いことでコンプレックスやストレスを長い間抱えていらして、「できれば行きたくないけれど、やっぱり行ってみよう」と、やっとの思いで来院されます。

そうした方たちには、まずこころに抱えた悩みを「聴く」ことから始めなければ、最良の治療はできないというのが私の考えです。

ほとんどの方が、今まで何度かは歯科医院の門を叩きました。
思い切って、診療を受けたことがあるともおっしゃいます。
ただし、歯科医院で怖い思いや、嫌な思いをし、治療が続かず、歯科医院から次第に足が遠のいてしまって、ますますお口の状態を悪くされているのです。
あまりにもひどい自分の口の状態を、歯科医師やスタッフに笑われて、大変傷つけられたという方も何人もいました。
何度治しても、すぐに悪くなると、歯科医師に不信感を持っているという方も少なくありません。

そうした話を耳にするたび、歯科医師が患者さんを尊重する気持ちもっとを持たなければならないと、強く思います。

その第一歩が、患者さんの話を「聴く」ことです。

歯科医師に不信感を持っている方の場合、なかなかお話をしていただけないこともあります。
本心とは、違った表現をされる場合もあります。

私は、初めて来院される患者さんと応対するとき、患者さんの表情、わずかな言葉から、患者さんの心に積極的に寄り添っていこう、患者さんの心情を推しはかっていこう、という姿勢で臨みます。
時には、質問したことに患者さんが答えを出せるまで、じっと静かに待つこともあります。
患者さんの話をもう一度繰り返して、患者さんの気持ちを確認することもあります。
時には、患者さんの言葉を少し言い換えて、表現を明確にすることもあります。
そして、表情なども含めて患者さんの気持ちを汲むことを大切にしています。

歯科治療は、技術的な問題がほとんどを占めると、思われていますが、実は、立派な技術をもってしても、患者さんを尊重する姿勢、患者さんを理解しようという気持ちが無ければ、その方にとっての最良の治療はできません。
その第一歩は、患者さんの話を「聴く」ことから始まります。

今日も日曜相談日、患者さんを尊重し、患者さんを理解しようという気持ちを強く持って、これから患者さんをお迎えします。



dentalhagiwaradentalhagiwara at 08:39│コメント(0)

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